橋を架けることには独特の快感がある。すぐ近くに見える場所でも、その間に谷があったり水が流れたりしていると大きく迂回して行かなければならないが、橋を架けると最短距離で到達することができる。しかし、単に距離(時間)を短縮するということだけではなく、橋が無ければ歩けない空中を歩くということがこの独特な快感につながっているのだと思う。橋というのはA地点からB地点に行くためだけのものではなく、「橋を渡る」という行為そのものが快感なのだ。
家の2階から裏の土手まで最短距離で行くことにどれほどの意味があるのかと聞かれれば、ほとんど意味は無いと言うしかないが、こうして実際に橋を架けてみると家と外との境界が曖昧になってとても晴れ晴れした気分がするし、むしろ必要の無いものだからこそワクワクし、心豊かに過ごせるような気がする。