Katayama Takatoshi Weblog
ビリヤードと美術と生活と
d0094333_39139.jpg大学の構内にビリヤード場がある。何年ぶりだろうか?ビリヤードをやったのは…。23年ぶりくらいか?

浪人生の頃には毎日のようにやっていた。やりだすと5〜6時間はすぐに経ってしまうので夕方からやりだしても終わる頃には終電も終わっていたりして、帰るのをあきらめてどこかで飲んで、そのまま友人の家に泊まったり、あるいは昼間から始めても夕方になるのでそのまま夕飯を食べて飲みに行って帰れなくなって、友人の家に泊まったり、また、ある時はビリヤードをせずに夕飯を食べに居酒屋に入り、そのまま飲み出して、帰れなくなって友人の家に泊まったりしていた。

帰れなくなったというのは口実で、ほんとうは友人の家に泊まるのが目的だったのかもしれない。

その友人の家は神田にあり、昼間は父親が1階を反物を扱う仕事場にしているのだが、夜は無人で2階に5〜6人は充分泊まれるだけの広さがある。布団もあるし、普通の家だからキッチンもトイレも何もかも揃っている。炬燵もあった。自分の四畳半のアパートよりずっと快適だった。だから、当然たまり場になった。ほぼ毎日そこに泊まっては、そこからお茶の水の美術予備校に通っていた。

そんなだったから、自分のアパートでの思い出は少ないが、神田の友人宅での思い出はたくさんある。あるときは飲みつぶれて知らないうちに運ばれていたり、またある時はイタリア料理パーティーを開いたり、仲間内でデッサンの講評会を開いたりと、まるで合宿所のような雰囲気だった。

今思えば浪人時代が一番自由だったように思う。何の身分も無い、どこにも属していないという身軽さに加え、毎日好きなことだけをやっていればいいという夢のような日々だった。一般の大学の受験生はどうか知らないが、美大の受験生なんてのはそもそも美術が好きなのだから、毎日デッサンをすることには何の苦も感じないどころか、楽しくて仕方がない。ある学生などは朝早く学校に行き過ぎてまだ開いていなかったので建物裏の窓から侵入したところを警備員に捕まり、「自分はここの学生だ、一刻も早く絵が描きたくて侵入した」と言っても信じてもらえず困り果てたそうだ(笑)。

でも、そんな受験生もやがて美大に入り、卒業すると、どうやって生活すればいいのか途方に暮れることになる。会社勤めができるような人格を持ち合わせているくらいまともな人間なら最初から美術なんてしていないだろうし、かといって美術で生活して行こうと思っても、作品が売れるようになる前に飢え死にする。ヨーロッパの国々では国家による芸術家支援制度によって生活が保証されるので生活費に思い悩まずに制作を続けることができるらしいが、日本ではそういうのはないので芸術家として活動していくためには、学校の先生になるか、自ら進んで巨大マーケットに乗るかしかない。で、それができないその他の多くの芸術家たちはたくさんの仕事をしながらも憲法で保障されているはずの健康で文化的な最低限度の生活を営むこともできずにいる。また、日本ではそういうのが芸術家だと思われているふしもある。日本人が好きなゴッホも極貧の生活だったし、ゴーガンなどは辺境の地で失意と絶望のうちに生涯を閉じているし。

でも、現実はそんな苦労をする前にみんなやめていくのだ。私の同級生は約20人いたが、大学の先生にならずに、海外に逃げてもいかずに日本で制作を続けていられる人は…う〜ん1人しか思い浮かばない。彼は極貧生活者だ。国家が芸術家を支援することが果たして良いことかどうかは難しい問題だし、仮に支援することになったとしても日展みたいな時代遅れでバカげた展覧会で入選することが条件になったりするのだろうなあと思うと、むしろ何もしてくれるな、とも思うが、才能ある芸術家が仕事を続けていくこともできないこの現状は日本の国益にも反すると思うのだがどうだろうか?

私も今のように毎日コンピュータに向かって無意味な書類を作っているような仕事をしていると人生を浪費しているような気がしてならないし、自分を2つに分割して、お金のために無意味な仕事をしている自分と、芸術の為に全てを捧げる自分という全く違う2つの人格を使い分けなければ、とてもじゃないが制作などできない。ヨーロッパに逃げようかと考えたこともあるが、やっぱり日本の風土は捨てがたいし日本の風土の中でできるものが作りたいとも思うのだ。やれやれ悩みはつきない。

今日はビリヤードの事を書くつもりで書き始めたのだがいつの間にか愚痴になってしまった。でも、人生ってのはいつでもこういうふうに思わぬ方向へころがって行くものだから、たまにはこういうのも自然でいいか(笑)。
by katayama_t | 2007-01-13 03:14 | Life
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記録すること。すべて過ぎ去ってしまう前に。
by katayama_t
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