Katayama Takatoshi Weblog
昭和史
昭和史というのはなかなかわかりにくい。何が真実であるのか判然としないし、隠されている事実も多くあるからだ。50〜60年代にCIAが自民党に資金援助していたなんてのもアメリカの公文書公開法で30年後にようやく表に出てきた話だし、平成の現在でもイーホームズの藤田社長へのあからさまな国策捜査や、痴漢で逮捕されてなんと131日間もの長期間拘留されていた経済学者の植草一秀氏への冤罪、国策捜査疑惑もある。植草一秀氏は「りそな銀行」に関係する政府絡みの大規模なインサイダー取引疑惑を追っていたらしい。これらはネット上にたくさんの情報があるのでここでは書かないが、まあ、何が真実かなんてなかなか表に出てこないのは確かだ。

ああ話は昭和史だったな。昭和と言えばやはり思い浮かぶのは戦争だが、戦争中の話は特に分からないことが多い。
南京大虐殺や従軍慰安婦なんてでっち上げだという人がいる一方、事実だとの多くの証言もあるが、やっかいなのは証言が二転三転する等正確さに欠ける上に年代等で明らかに事実でない証言まで飛び出すなど信憑性に欠けることだ。また、当時の新聞記事なども厳重な報道管制が敷かれていたはずでこれも証拠にはなり得ないだろう。

以前中国の留学生と話をしていたときに、南京大虐殺はあった、中国には残虐行為を記録したたくさんの写真がある、それも日本人が撮影した物だ、と言っていた。彼は中立的な報道なんてあり得ないと笑い飛ばすほど聡明なので、その彼が言うのだからそうなのかな、という気もするが昔から報道写真の加工も頻繁に行われていたことを思うとそれらの写真集がまったく加工されていないとも信じられない。

下は加工写真の例だ。
昭和史_d0094333_23251037.jpg
私は一部の右翼が言うように戦争中の日本軍が残虐行為をしなかったなんてバカなことはあり得ないと思うが、残虐行為の証拠とされるものの中にも残念ながら信憑性に欠けるものもあるのだ。

そんな中でも実際に戦争を体験した、それも日本側の軍人として体験した人から聞く話には説得力がある。実際に軍隊に行った人たちはなかなか当時のことを話そうとしないが、少数ながら率直に当時の話をする方もいる。日本が右傾化にある現在実際に体験した方の証言は貴重であるばかりでなく戦争を知らない私たちの世代にとっては今の日本の進路を考える上での指針にもなるように思う。

インターネットが普及してからというもの多くの情報を得ることが可能になった。下記のurlは日中戦争当時中国で特務機関員(スパイ)として働いていた方の証言だが、特務機関員という特殊な立場だったため実に多くの体験をされていたようだ。

この中の一文「知っておきたい日本の歴史」から抜粋する。
-------------ここから
戦後日本の歴史教育から抜け落ちた部分を知ることで、如何にして今日の日本があるのか。現在の日本が国際社会の中で、如何なる立場であるのか見直して、歴史上の過ちを繰り返さないことが重要だと思う。
 明治維新から太平洋戦争に至る激動の73年間を教えない現在の教育は、間違っている。中国や韓国に言われるまでもなく、日本人の歴史認識は抜け落ちている。文部科学省の教科書検定官の頭の中にも歴史認識はない。今、真実の歴史を知ることで、過去の過ちを繰り返さない知恵も生まれる。そう信じて私は、つたない知識を絞ってこの一文を書いた。
 私たち大正生まれの受けた教育も正しかったとは思わない。明治時代に粉飾された神話が現実のことのように教えられ、天孫民族が土着の熊襲民族を武力で排除し本州を占領したことも誇りとされ、神の子孫、大和民族は敗れることはないと教えられた。戦士達が戦場で見せた異常な忠誠心はその結果である。私自身もその一人であった。戦後、教育は一変し、占領軍に遠慮して、近世、白人のアジア侵略の歴史は学校教育から消えてしまった。外国のことはともかく、日本の近代史だけは知らなくてはならない。私はその思いに駆られている。
-------------ここまで

偶然見つけて何気なくページを開いたのだが、その気負いの無い語り口の魅力に取り付かれて引き込まれるままに全部読んだ。戦争経験者はつらくて思い出したくもないことが多いだろうがこれは個人の問題ではなく、日本人の歴史の問題だ。たくさんの方にぜひ勇気を持って語っていただきたいと思った。

私は自慢じゃないが歴史とか英語とか数学のような教科は大の苦手だった。この3つに共通点ないじゃん、って思われるかもしれないが、ある。どれも暗記する教科だってことだ。少なくとも私が通っていた学校ではこれらは全て暗記する教科だった。でも本当はそうじゃない。数学は美しいし、英語は人との関係を築くためのものだし、歴史は自分がどこの誰なのかを知るためのものだ。
歴史を知らない国民は記憶喪失に陥っている人のようなものだ。自分に対する他人の見方によってのみ自分を知ることができるので、常に人の目が気になる。記憶を取り戻さないことには一歩も前に進めないように思う。

日中戦争の中の青春
http://www.geocities.jp/yuumiyamagami/covernakatani.htm

by katayama_t | 2007-02-03 23:26 | Social | Trackback | Comments(2)
Commented by coucou at 2007-02-04 09:32 x
はじめまして。私も暗記が苦手で落第生でした。数学の美しさは永久に理解し得ないと諦めていますが、英語と歴史に関しては諦めてはいけないと最近の目標になっています。今日のサイトの情報をありがとうございました。友人たちに配信します。
私の父は2月で90歳。19年に大学院の学生で召集により中国にいきましたが、ほとんど話を聞いたことがなく、70歳過ぎころに一度だけ「おじさんはね」と地図を見ながら、私の友人の子どもに子供向けの話を少ししたのを聞きました。「ずっと寒い中を歩いたんだけど馬もかわいそうだったよ。食べ物がないから縄で作った引き綱を食べちゃったのさ。そのうち僕たちが履いていたワラ草履も食べられちゃったんだよ」といって笑いながらです。
父は今脳梗塞による痴呆になってしまったので聞かず終いになりました。
Commented by katayama_t at 2007-02-05 00:21
そう、迷った末に書かなかったのですが高齢化の問題は大きいですね。あと10年もしたらもう実際の戦争を知っている人がいなくなってしまうんですよね。私の祖父も戦争に行ったようなのですが、結局何も話すこと無く逝ってしまいました。今日本は大きく舵を切ろうとしていますがその是非を判断できるだけの知識とそれに基づく知恵を持っている人がいなくなるというのは恐ろしいことだと思います。
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