世の中にはつまらない人間がいる。
作品が壊された。 先日巷房を通してミューザ川崎から、ホール脇の通路部分に設置してある作品が壊れたので補修ができないか、という問い合わせがあり、今日見に行ったのだが、想像以上にひどいことになっていたので驚いた。 私の作品は陶とは言え高温で焼き締めてあるので、そう簡単に壊れるものではないのだが、故意に壊そうと思えば壊すことは可能だ。 作品の上にある舟形の部分を無理矢理剥がしてある。この部分が欲しくて持って行ったというのではなく、剥がしたパーツはほぼ全て近くに置いてあったらしい。 ということは、最初から壊すのが目的で、悪意をもってやったということだ。おそらくバールのような道具を使って剥がしたのだろう。粘土の状態の時に着けてあるので完全に一体になっていたのだが、道具を使われたらひとたまりもない。 他にも、作品の色に合わせてわざわざ白く塗ったおもちゃの人形や車を接着剤で作品に着けてある作品が2点。小さなパーツが折られている作品が1点ある。 そもそも普通に触ることができる位置に作品を置くことに不安が無かったわけではないが、この場所はクラシックコンサートを聴きに来る客しか入れない場所なので、故意に壊すような人はいないだろう、という判断で置くことにしたのだ。画廊オーナーも、ホールの設計者も、作品を選んだ美術評論家も、そして私も皆クラシックの大ファンだ。こういう特別な場所でなければ出来ないことをしたいという思いもあった。 音楽が好きな人にこういうことができるとはとても思えない。 犯人は明らかに何度か来て下見をし、準備をして、こういうことをするために来場している。防犯カメラの死角になる場所を探して、ホワイエ(通路)に人がいない時間、つまり音楽の演奏中にやっているとしか思えない。 人に恨まれる覚えが無いわけではない。 招待券をもらった演劇公演で、一番前に陣取ったにもかかわらずあまりのひどさに途中で退席したり(あとで恨みがましいメールが来た(笑))、見てくれというので人の作品を見にいって、あまりにおそまつなのでボロクソに貶したりしたことは、一度や二度ではない。 でも、それは相手がまともな人間であれば、恨まれることではなく、むしろありがたがられることだ。 正直に思ったことを言ってくれる人は貴重だ。私も一番頼りになる批評家は、妻だ。感じたことを遠慮せずに言ってくれる。次に親だ。普段美術などにまったく触れていない人から見て、どう見えるか、というのはなかなか得難い感想だ。そういう人から見ても見応えがあるようでなければ、作品に普遍性なんて無い。 このところ春めいて来たせいか、気分が滅入っていたが、壊された作品を観たら不思議と気分が晴れた。 他人の悪意で私は傷つかない。私を傷つけることができるのは、私の愛する人たちだけだ。
by katayama_t
| 2008-03-07 23:10
| Art
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Comments(2)
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怠惰
at 2008-03-27 00:06
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ひどいはなしですね 事前作品は もちろん知っています「いい作品だな」とボクは思ったし 象山さんにも その気持ちを伝えたと思う。 これは 事故だったと 思いたい だれかが 落っことしたとか ボクとしては この写真を観て「事後」の 姿も「おっ カッコイイ」と 思ってしまったけどね。 過去にもいろいろ 大変な目に遭ってらっしゃるけど 某画廊の一件よりは、情状酌量の余地ありだと思った
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katayama_t at 2008-03-27 00:48
はい。事後の姿もかっこいいので、これはまだこのまま展示しています。
でも事故じゃないのですよ。台座にがっちりと固定されていますのでね。 川崎市の担当の人は誠実なのですが、ずっと見張っているわけにもいかないでしょうから、何か方策を考えないといけないと思っています。 破損作品3点を4月のはじめに治しにいきます。 某画廊の一件は、あまりにひどくて冷静ではいられません。もちろんここにも書けない。あそこには二度と行かない。
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