最近ろくろで器を作っている。
ろくろをひくというのには独特の快感がある。ものを作る行程というよりも瞑想をしているような静けさを感じることができる。
ろくろにはまってしまう人は、ものづくりに関わっている人よりも全く関係ないただの会社員などのほうが多い。日常とのギャップが大きくそれに素直に反応するのだろう。中途半端にものづくりに関わっている人は「こうしてやろう」「ああしてやろう」と自分の思い通りに粘土を動かそうとして、まったくつまらないものを作る。それでは陶芸の良さはわからない。ものづくりに真摯に取り組んでいる本当の意味で創造力のある人は別。自分が何をすべきか、あるいは何をすべきでないか、すぐに感じとることができる。
まずは静かに粘土の感触を楽しむのだ。
そして粘土の性質に自分を合わせていく。
「土の心に耳を傾けなければ」などと言うとくだらない精神論に聞こえてしまうが、陶芸をやってみると確かにそうとしか言えないような感覚がある。
創造力というのは「自分」を棄てる能力でもある。