Katayama Takatoshi Weblog
ウィーン・モダン展
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国立新美術館で「ウィーン・モダン展」を観た。とても良い展示。最近自分の作品作りをできていないせいか、量産品や情報の波にのまれて心が荒んでいたが、展示品すべてに作者の愛が感じられてとても救われた気分。すべてが「本物」で、「ああ、自分はこういうものが好きだったのだ」と思い起こすことができた。クリムトやシーレなどの絵やスケッチはもちろん素晴らしいが、オットー・ヴァーグナーの木の椅子にアルミや貝の装飾が施されているあたりはとても素敵だし、当時使われていた銀製品もシンプルでありながら形はよく練られていて見ごたえがあった。現代主流の味も素っ気もない椅子やカトラリーのみすぼらしさを思うと泣けてくる。もう一度観たい展覧会。

良いものを観ると気持ちが良い。このところずっと気分が晴れなかったが、良い展示を観ると、その作品の中に自分の好きなもの、共感するものを見つけられて孤独感や絶望感から解放される。自分で展覧会をするのはもちろん、他の人の展覧会を観るのも自分を知ることに繋がるのだ。

# by katayama_t | 2019-07-03 10:03 | Art | Trackback | Comments(0)
人が人として生きることの過酷と美しさを描いた映画
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映画「ずぶぬれて犬ころ」を観た。ユーロスペースで明日がロードショウ公開の最終日というので今日しかチャンスがなく予定をこじ開けて観に行った。本田孝義監督の映画はいままで「舟、山にのぼる」「モバイルハウスのつくりかた」という2本のドキュメンタリーを観ていて、それぞれ面白かったし、今回は特に初の劇映画というので期待して観た。

制作費を抑えた映画らしく演技や演出に詰めの甘さも見えたが、それを差し引いて余りある内容。脚本も良く、中学校でいじめられている現代の少年が、住宅顕信を知ることによって独り立ちしていく様は感動を誘うし、同じような経験をしてきた人には特に胸に刺さるものがあるのではないかと思う。そのせいかどことなくドキュメンタリーをみているような印象で、今もどこかにこんな少年がいるだろうと思える生々しさがあった。実際にいじめられていなくても学校には居場所がないと感じる生徒はたくさんいるだろうし、そういう子どもが「本」を通じて自分の内面世界を広げることにはとてもリアリティを感じる。人が人として生きることの過酷と美しさを描いた映画。

最後に。
実は、映画館に行ってチラシを見るまでこの映画のタイトルは「ずぶぬれて石ころ」だと思い込んでいた。どうしてそういう勘違いをしていたのか分からないが、これも「人は自分の見たい世界を見ている」ということかな。顕信は浄土真宗の僧侶。「犬ころ」だと浄土真宗だけど、「石ころ」だと禅宗っぽくなる。

# by katayama_t | 2019-06-27 20:18 | Art | Trackback | Comments(0)
ミューザ川崎作品修復

ミューザ川崎シンフォニーホールから作品修復依頼。開館からちょうど15年経って破損や汚れが目立ってきたのでホールを改修するタイミングで全面的に修復をした。

作品を設置した当初は、自分の作品に対する方針として、窯から出した作品に手を加えることはしてはいけないとしていたので、作品に入ったヒビもそのままにしていたが、あれから15年経って自分の作品に対する考え方も変化した。偶然にできる表情は大切にしながらも、目立つヒビは後からでも修復したほうが作品のためになるのではないかと今は思う。焼成後に人の手をつけないというのは、「作品は自然に出来るもの」だという私の作品を作る上での態度としては筋が通っていると思うが、今は、ヒビを残したまま展示することが果たして作品の幸福に繋がるだろうかというのが疑問。ヒビや欠けの手当をしないことは自分のエゴでしかないのではないか、自分は作品の立場で考えられていなかったのではないか、という反省がある。

ということで、破損箇所はエポキシ樹脂で接着、ヒビは石膏と白化粧土、黄土などを混ぜたもので充填。汚れは水やシンナーなどで拭き取って新品同様……というか新品よりも綺麗になった。

作品の置き場所も移動されていたり、作品が綺麗に見える置き方をされていなかったりしたものを時間をかけて最適解を探った。ベンチやゴミ箱、演奏家の写真などと一緒に通路に置かれているので、作品とその他のアイテムとの配置バランスを取るのがとても大変だったが、最終的にはホール側も私の側も皆が納得できるかたちで納めることができたので気持ちが良い。良い仕事ができたと思う。

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# by katayama_t | 2019-06-26 23:02 | Art | Trackback | Comments(0)
無伴奏チェロ組曲のダンス
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ローザスの公演「我ら人生のただ中にあって / バッハ無伴奏チェロ組曲」を観た。ポスターにはダンサーが一人写っているだけだったので、てっきりソロダンスなのかと思っていたが、思いがけずアンヌテレサ自身がダンサーとして出てきてびっくり、見入ってしまった。無伴奏チェロが生で聴けるだけでもとても心地よいのに、そこにローザスのダンスが加わるなんてとても贅沢。とても良い時間だった。それにしてもアンヌテレサは凜としていて本当ににかっこいい。年齢を重ねた今、老いや性などすべてを超越していくような美しさがある。
# by katayama_t | 2019-05-19 17:21 | Art | Trackback | Comments(0)
鶏の入れ替え

今日は卵を産まなくなった雌鶏を捌いて、新しい鶏に入れ替える日。

雌鶏が4羽いて卵は毎日2つずつ産むので、産む数としては悪くはないのだが、卵の質が落ちてきて殻がしっかりと形成されていなかったりすることがままある。しかし、それよりもさらに問題なのは鶏たちが自分達が産んだ卵を食べてしまうことだ。毎朝鶏と卵の取り合いになる。

卵をたくさん産むように品種改良されているので、もともと卵を温めることもしない。ゆくゆくはそういうF1品種ではなく、原種の鶏を飼って卵を孵してひよこを育てて、というサイクルで回していきたいが、もう少し生活に余裕ができたらということにしている。

朝鶏舎の扉を開けるとおなかを空かせた鶏たちが外に出ようとするのを、中に押し込めて1羽ずつ捕まえて他の鶏たちから見えないところまで連れて行き絞める。足を上にして吊し、血が充分抜けたところで皮を羽根ごと剥いでいく。あとはモモ肉とムネ肉、レバーや砂肝を取り、肉類はミンチに。レバーや卵になりかけの黄身などは甘辛く煮て食べる。以前は羽根を湯剥きしていたのだが、皮が硬くて食べられないので皮ごと羽根を剥くようになった。

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午後に新しい(といっても1年半以上経過したひね鶏だが)鶏を貰ってきて鶏舎に放つ。同じ品種でも貰ってくる度に性格が違うのが不思議。今回の鶏は雌鶏同士激しくけんかしていたので気が強いのかもしれない。いじめられる鶏が出なければいいが、どうなることやら……。

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普段肉を食べても、動物を殺していると意識することがなくて、「アメリカで食べたステーキが硬くて味がなくてゴムみたいで笑」なんて話を平気でしているが、こうしてたまに鶏を絞めて捌くと、生き物の命を頂いているのだと実感できる。絞めたばかりの鶏は体温が残っていて熱いくらいでその感触が手に残るし、首を落とした鶏の鶏冠が見る見るうちに白くなっていくのが目に焼き付いている。鶏冠の赤色は血の色なのだ。

自分が何を食べているかということを意識するだけで少し地に足の着いた感じがする。この感じを持続させていきたいと思う。


# by katayama_t | 2019-05-11 21:17 | Life | Trackback | Comments(0)
フライ返しを作る

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スーパーマーケットで買ったフライ返しがまったく使えない代物。フライパンに押しつけると細くなった首の部分で折れ曲がってしまって変形したまま戻らない。へらの部分を薄く削ればなんとかなるかと思ったのだが、ちょっと無理そうなのでしかたなく自作した。

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金属の弾性変形を利用してしなりを出すには首の部分までを丈夫にして、先の方を薄い材料にすれば良いはず。

こういうものはあまり考えすぎても進まないのでとりあえず適当な厚さのステンレス板を適当に切り抜く。

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このままでは柄の部分が柔らかすぎてダメ。柄の部分にリブを立てて剛性を出そうかと思ったものの、溶接機のガスが無くて溶接ができないため柄とへらの部分を違う部材にして継ぎ足すことに方針転換。

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9mmの鉄丸棒を適当な長さに切ってスリットを入れ、切り抜いたステンレス板を差し込むとちょうど入り込むサイズ。

へらの部分を曲げて真鍮棒でカシメて、さらに木の持ち手をつけて完成。

ちょっとゴツいけど、しなり具合は素晴らしい。

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自分でいろいろ作るのは楽しいけど、謎なのは、どうしてこんなにたくさんの使い物にならないものが製品になっているのかということ。

もっとみんな真面目に仕事をしろよと思う。


# by katayama_t | 2019-05-10 22:24 | Life | Trackback | Comments(0)
デザイナーズケトル再生プロジェクト『柳宗理 編』4
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このケトル、前回修理したのが2014年の12月だからあれから約4年経ったことになる。使い込めば味が出てくるかもと思いながら4年間使ってきたが、持ち手と蓋の取っ手がどうにも気に入らない。持ち手は作為的すぎるし、蓋の取っ手は作為が無さ過ぎる。

毎日「なんか違うなあ」と思いながら使っているのもストレスだし、このところずっと事務仕事ばかりで気が変になりそうだったから、重い腰を上げて作り直すことにした。

まずはケヤキの木っ端を旋盤で削って蓋の取っ手を作り、次にケトルの持ち手を切断。薪棚にストックしてあった木の枝を適当な長さに切って、両端に穴を開けて取れないくらい深く差し込んで完成。
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と思ったら、バランスが……わるい。持ち手が大きすぎるのだ。
次の機会にもう少し細めの枝を探して差し替えることにして、とりあえずこのアンバランスなまま使ってみようと思う。次で完成かな? でも持ち手を細くしたら今度は全体に華奢な印象になって蓋の取っ手をもう少し大きくしてみたり、丸くしてみたりしたくなるような気もする。
完成しないのかもしれない。

# by katayama_t | 2019-03-01 22:07 | Life | Trackback(3) | Comments(0)
やりたいことは先延ばしにしないこと

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中学生の頃、歩道に突っ込んできた軽トラックに跳ねられてからというもの車道近くを歩く人が気になってしかたがない。誰かと一緒に歩いていても相手が無防備に車道側を歩いていると落ち着かず話の内容も頭に入ってこない。「すみませんがこっち側を歩いてもらっていいですか」と道の端の方を指して伝えることもあるけど、「車が突っ込んでくるかもしれないから」なんて馬鹿げた心配をしていることはなんとなく伝えづらいし、伝えたとしても不審がられるのがオチだ。車が自分に向かって突っ込んでくるなんてことは普通起こらないと当然のように皆思い込んでいる。でもそれは間違いだ。

今朝、草刈りをしていたら4トントラックが猛スピードで縁石を越えて自分のすぐ脇に突っ込んできた。

人間いつ何があるか分からない。

だから、やりたいことは出来るだけ先延ばしにせず、毎日楽しく笑って過ごした方が良い。

というわけで明日沼津に行って夜に夜光虫の海で泳いでくる。あの素晴らしさを言葉で伝えるのは不可能だ、経験しないとわからない。


# by katayama_t | 2018-08-12 21:20 | Life | Trackback(6) | Comments(0)
もっとずっと弱い生き物に

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先日卒業生から久しぶりに連絡があり2人でランチをした。卒業してからかれこれ15年ほどになるだろうか、以前はたまに2人で飲みに行ったりもしていたが、子どもが産まれてからすっかり疎遠になっていた。こうして連絡をくれて再会できるのはとても嬉しい。久しぶりに会った彼女は知らぬ間に(忘れているだけかもしれないが……)2人の子どもを育てていて、危なっかしいところも見えず、もう立派な大人だ。本人は「いくつになっても大人になれないし分からないことだらけだ」と言っていたが、そういうふうに自分のことをさらりと言えること自体がとても信頼できるし安心できる。

自らのことを「大人になってない」とか「分からないことだらけ」だと感じる人は一生そう感じながら生きていくのではないかと思う。たぶん、死ぬまで。 それは、いつでも誰からでも何からでも学ぶことができるということであって、柔軟で変わる可能性を秘めているということだし、人と良い関係を結ぶためには必須の能力だと思う。そもそもコミュニケーションというのは人によって変えられる可能性を秘めていないとまったく成り立たないものだ。変わる可能性の見えない人というのは相手のことを見ていないし受け入れる気も無いということなわけで、コミュニケーションなど成立しないのは自明だから。当然だがそういう人と一緒にいても全然楽しくない。……よくいる自慢話しかしないおじさんとか最低だよね。

そういえば彼女はこんなことも言っていた。「小学校の先生は意味の無いルールを子どもに押しつけていてとてもおかしい」と。そういう先生は子どもとコミュニケーションを取る気などないのだろう。子どもから教えられることはたくさんあるのにとてももったいないと思う。


「NUUAMM」(GEZAN)のMU-MINという曲にこういう歌詞がある。

「きみと会ってからのぼくは、もっとずっと弱い生き物になった。ばかにしてたポップソングの歌詞も今なら理解出来るよ」

これはとてもよくわかるしとてもとても良い。人と出会うというのはこういうことなんだよな。


# by katayama_t | 2018-08-10 22:31 | Life | Trackback | Comments(0)
マーチ車検

マーチを車検に出してきた。

ブレーキランプやヘッドライトが切れていないかだけチェックして、まったく整備をせずにいきなり持って行ったら、ヘッドライトの光軸がズレているのと、ナンバープレートランプが片方切れているのが判明し、あえなく「不合格」。その日のうちに直して再検査すれば費用はかからないが、後日にすると検査費用(検査登録印紙400円と審査証紙1300円)が再びかかってしまうため、iPhoneで周辺のホームセンターとテスター屋を検索。ホームセンターで球を購入して交換、テスター屋で光軸調整をしてもらい、再検査で無事合格。お昼を挟んで結局4時間もかかってしまった。

ユーザー車検はやったことがないとハードルが高く感じるが、前の車が何をしているかよく観察すればだいたいのことは分かるし、慣れていない人は係の人が付きっきりで世話をしてくれるので誰でも問題無くできるようになっている。基本的に検査場の係員は皆優しいし、無事に合格するよう手を尽くしてくれている感じが伝わってくる。

しかし、もう少し整備してから持ち込まないと失礼だと我ながら思う。次回は不良箇所が無いかもっとよく見て、予め光軸の検査をしてから持ち込もうと思う。もう大人なんだし。

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基本費用

検査登録印紙 400円

審査証紙 1300円

重量税印紙 25200円

自賠責保険 25830円


メンテナンス費用

光軸調整(レンズ磨き込) 2000円

ナンバープレート球 140円


合計 54870円


初年度登録が平成11年(1999年)なので重量税が割高で、どうしてもこれだけはかかってしまう。


# by katayama_t | 2018-08-10 20:30 | Life | Trackback | Comments(2)


記録すること。すべて過ぎ去ってしまう前に。
by katayama_t
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