帰国が近いのでこのところ良く飲み会に誘われる。昨日行った店は韓国式刺身居酒屋という感じの店で、店の前には水槽があり、魚やホヤや蛸などが泳いでいた。
韓国ではいつもメインディッシュが来る前にお腹いっぱいになりそうなくらい沢山の食べ物が出て来るが昨日はいつもにも増してすごかった。テーブルいっぱいに料理が並んでそれを食べきる前に次々と新しい料理が運ばれてくる。その中で一番変わったというか、理解できないというか、信じられないというか、食べられない料理は韓国語でエイの刺身という意味のホンオフェだ。これは韓国でも食べられる人が少ないという強烈な匂いを発する発酵食品で、エイを10日間カメに入れて発酵させているらしい。魚に詳しい人はそう聞いただけでどんな匂いになるのか想像できると思うが、鮫やエイのような軟骨魚系の魚は体内に尿素を蓄積しているため、鮮度が落ちると尿素がアンモニアに変化してくる。だから漁師の網にかかっても捨てられてしまうことが多いのだが、そのエイを10日間も発酵させるのだから強烈なアンモニア臭がしてとても食べられたものではないのだ。それがテーブルに出てきたとたん皆「うえ〜」「これは人間の食べ物じゃない」なんて言ってるので、試しに食べてみた。口に入れるまではどうってことはないのだが、噛めば噛むほどアンモニアが鼻に抜けてきてコトバで表現できないような強烈な刺激がある。強烈さの比較で言えば小学生の頃に初めてウイスキーを薄めずに飲んだときのような感じだ。父親に勧められるままウイスキーを飲んだ私は喉が焼けてその場でのたうち回った。で、ホンオフェだが噛めば噛むほど涙は出てくるし、アンモニアってたしか毒性があったよなあ、これ食べて大丈夫なものなのかなあ? なんて思いながらも2切れ食べた。確かにこれは食べ物じゃないと思ったが、一日経つと少し忘れてくるのか、なんとなくまた食べたくなってくるから不思議だ。