昨夜は12時から朝8時頃まで久々にぐっすりたっぷり寝た。朝食をすませてから、思い立って家にあるナイフを研いだ。まず鉛筆を削るのに使っている切り出しナイフを研ぎ、次に肥後の守(ひごのかみ)を研いだ。
日本の刃物は良くできている。
先日井波の木彫刻キャンプで、世界9カ国の彫刻家が現地制作していたが、使っている道具を見るとどれも驚くほどお粗末だ。まず、日本の刃物のように軟鉄と鋼を合わせたような構造の物は見あたらず、ノミに口金も桂もついていない。そんなものを木槌でたたけば当然柄が割れてしまうのだが、割れたらまた付ければいいじゃないかという考えらしい。
刃の構造を見ても日本では肥後の守のような小刀でも、刃は青紙割込という構造で出来ている。青紙というのは鋼の種類で粘りと硬度を合わせ持つように調合されたもので、割込というのはそれを左右から軟鉄でサンドイッチしている構造ということだ。切れ味と強靱さを合わせ持っている。日本は木と紙の文化だと言われるが、道具を見るとそのことを実感する。
井波彫刻キャンプに参加している海外から来た彫刻家は10日間滞在するうちに日本の刃物に惚れ込んでまとめ買いしていく人が多いらしい。