先週の金曜と今朝、NHK-FMでフルトヴェングラーの音楽がかかっていた。一日前のミュージックプラザ第1部の再放送だ。先週はベートーベンの3番をやっていて、今日は9番!
51年録音のバイロイト祝祭管弦楽団。
もうこれは「すごい」としか言いようがない。朝から胸が高鳴りっぱなしだ。
大げさなようだが人類が残したものの中で最上のものの1つだと思う。フルトヴェングラーの第九はこのほかに42年録音のベルリンフィルも有名で私はバイロイトよりもこっちのほうが演奏は一枚上だと思うが、なにしろ戦時中だし音質が悪いのでバイロイトの方が決定版と言われるのはわかる。特に最近はデジタル技術によるノイズリダクションのおかげで、昔聞いたベールがかかったような演奏とは比べものにならないような迫力のある音質で聴くことが出来る。例えるとミケランジェロのシスティーナ礼拝堂天井画の修復前と修復後くらい違う(この例えは通じるかな?)。
芸術家の質は良くも悪くも生きた時代に左右される。こういう指揮者はもう2度と現れないだろう。フルトヴェングラー自身は「音楽はその場所と時間に常に新しく生まれる一度限りのものだ」という信念を持っていたようだが、よくぞ録音を残してくれたと思う。