この辺りには猪や鹿や猿や狸や兎やハクビシンなどが住んでいる。 以前、夜帰宅すると外灯に照らされて家の前に鹿が立っていたことがあって仰天した。姿を見せることは希だが鳴き声は夜によく聞こえる。 ハクビシンはたまに天井裏に住みついてガサゴソ動いている。最初は飼い猫が天井裏に上がっているのかと思ったが、ふと横を見ると猫はそこにいるのでハクビシンの仕業だとわかった。 猪は毎年農作物を荒らす。サツマイモやトウモロコシなどは明日収穫しようという時に限ってやられる。綺麗に食べてくれればまだ良いが、一囓りずつ全部に手を付けてしまうのでタチが悪い。 帰宅時に車で走っていると道路を歩いていた狸や兎を追いかけるようなかっこうになることがある。必死に逃げている姿が悪いけど笑える。朝になると時々車に轢かれた狸の死体を目にする。 自分だったら自分が轢いた動物は持ち帰って食べるだろう。 昼間は出てこない動物が夜になると我が物顔で動き回っている。 夜は動物たちのものだ。 昔は動物は山にいて、人里には降りてこなかったのだろうが、今では当たり前のように人里にいる。高度成長期に人工林が増え、さらに追い打ちをかけるようにバブル時にはゴルフ場の乱開発が続いた。そして過疎化と少子高齢化が進んだ結果、荒れ果てた山を後にして動物たちは里に下りてくる。 山を動物たちにとって住みやすい場所にしてあげれば良いわけだが、林業が衰退した今、山を管理したところで生活は成り立たない。 先日大工のカリゴメさんが樹齢60年ほどの目の詰まったりっぱな杉の木で神社の鳥居を作っていたので、この木は1本いくらなんですか?と聞いたら、なんと6000円だという。聞き間違いかと思って聞き返したが、やはり6000円だそうだ。これでは商売にならない。 農作物の被害が甚大なので冬になると住民全員がかりだされ鹿柵(しかさく)と呼ばれる金網を山と里の境界に張って毎年距離を延長していっているのだが山を全部覆うことなどどだい無理な話だ。皆「こんなことやっても動物は開いているところから入ってくるから無意味なんだけどなあ…」とぶつぶつ言いながら毎年恒例のイベントとして柵を立てている。こんなことするより自分たちの周りに柵を巡らしたほうがよほど効率的だ。 山と里を切り離そうという無謀な計画でばかばかしいにも程があるが、まだのどかで平和的だからいい。 今日14日に「鳥獣被害防止特別措置法案」というのが可決成立した。補助金を出し市町村職員や地元の猟友会員に猟銃を使わせて動物たちを大量に捕獲(射殺)するそうだ。 市町村職員に銃を使わせてって何? 今まで銃なんて手にしたことのない人たちに職務命令で銃を持たせて猪や鹿を撃ち殺させるつもりか? さらに驚くのは当初の案では自衛隊に山に入ってもらい訓練をかねて小銃で動物たちを殺しまくってもらおうとしていたらしい。 …やれやれ、なんてことを考えるんだ。精神構造を疑うよまったく。 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/071214/plc0712142059015-n1.htm 自衛隊が鳥獣駆除に協力 イノシシやクマなど野生動物による農作物への被害を防ぐ鳥獣被害防止特別措置法案が14日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。自民党は当初、自衛隊が銃を使って鳥獣を駆除することを検討したが、慎重論が強かったため見送られた。 同法は農林水産相が定める基本指針に基づき、市町村職員や地元猟友会員による「鳥獣被害対策実施隊」を設けるなどして、鳥獣の捕獲や防護さく整備などの対策を行うという内容。高齢化が進む農山村地域で野生動物が農作物を食い荒らす被害が頻発していることを食い止めるのが狙いだ。 自衛隊は市町村からの要請に応じ、自衛隊法100条(土木工事等の委託)に基づいて防護さくなどの設置を行う。 自民党の検討チームは当初、高齢化が進む猟友会の会員に代わって自衛官が銃で鳥獣の駆除を行うことを検討した。陸上自衛隊内では「不規則に動く目標を狙うことで隊員の練度を上げることができる」と歓迎する声が出ていた。 ただ、駆除自体に反対する環境保護団体への配慮や、山林で小銃で使うことの危険性から法案に盛り込まれなかった。
by katayama_t
| 2007-12-15 00:36
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