昨日は銀座で飲んだ。
三笠会館で行われたパーティーが終わったのが9時過ぎ、話し足りずに私を含めた3人の美術家で蕎麦屋で酒を飲みながら、話はだんだん個人的な深い話になっていった。
人の話というのは実際に体験した個人的なエピソードほどおもしろい。
今の世の中はどうだとか、こうだとか言ってもただのおやじたちの愚痴にしかならないが、個人的な話、普段他人には言わないような個の体験を聞くと、そこからおのずと今の時代や社会が見えてくるものだ。個人の話というのは個別の問題だと思いがちだが、実はそうじゃない。「個人的なこと」からしか、社会のリアルな姿は見えてこないのではないか、とさえ思う。
今60歳なのに家のローンがあと50年あるとか(笑)、日本にある資産を全部売ってスペインに行こうと思っている、とか、高校生の娘が妊娠して子どもを産んだ話など、もう10年も付き合いがあるが、初めて聞く話ばかりでなかなか楽しかった。
子どもの話をしていて、1つ解ったことがある。他人の子を育てる気持ちが理解できない、という人がいるが、そういう人は「個」に閉じていて社会性が欠如しているのだということだ。
子育ては個人的なことではなく、社会的な仕事だ。どういう子育てをするかというのは、どういう社会になってほしいのかという気持ちの現れなのだと思う。