Katayama Takatoshi Weblog
希望は戦争
希望は戦争_d0094333_0524451.jpgICCまでの電車の中で「生きづらさ」についてという本を読んだ。
今この社会で何か大変な問題が起きているという感じはしていたが、この本を読んで実際に何が起きているのか大まかには把握できた。

秋葉原通り魔事件もずっと腑に落ちない感があった。なぜあの犯人は国会議事堂やトヨタ本社じゃなく秋葉原で犯行に及んだのか? 単なるキチガイの仕業だと片付けるのは簡単だが、その予備軍が大勢いるとなるとそれはもう「個人」の問題ではなく社会の構造的な問題なのではないのか? それにあの献花の異常なまでの多さ。まるで戦没者を慰霊しているようだった。

自殺、格差社会、ワーキングプア、グローバリズム、ナショナリズム、ひきこもり、ニート、通り魔…これまでなんとなく関連しているような気がしていただけだったが、この本を読んではっきりと関係性が見えてきた。ネットカフェ難民という言葉は知ってはいたが、貧困問題がここまでひどい状態になっているとは正直驚いた。

何かに「所属」するということは、唾棄すべきことだと漠然と思っていたが、そう思っていた自分がいかに恵まれた人生を歩んできているのかということにも気づかされた。
「社会のなかにまともな居場所がないということが、当事者にとって、たんなる経済的な不安定さということには還元できない、アイデンティティ上の意味を持つ(本文57ページから抜粋)」のだ。

言うまでもなく人間は社会的な動物だ。自己肯定感というものは他者から認められることで築けるものなのだ。誰にでも出来る単純労働で派遣先を転々としながら低賃金で劣悪な労働環境を強いられるような人生を送っていたら、「いっそ戦争にでもなって社会が流動化したほうがまだ望みがある。」と考えるのもわかる。
by katayama_t | 2008-09-16 00:49 | Social | Trackback | Comments(2)
Commented by いわふち at 2008-09-16 09:25 x
秋葉原通り魔事件は、個人が社会に斬りつけたのでしょうか。肯定されたい、干渉されたいという感覚は少し暴力的。読んでみようと思います。
Commented by katayama_t at 2008-09-16 09:51
個人が社会に斬りつけたのならば、問題の立て方は正しいのでまだ救いはある。何が問題なのかもわからないほど社会と切り離された孤立した個人が増えていることが問題なのです。敵が見えない。
ワーキングプアの若者達は社会に認められない自分のアイデンティティを確立するために右翼に走りがちだが、さらに底辺にいるそういう余裕もない人達が今ひどく孤立していてまったく希望がない状態にいる。そういう人達が増え続けているというのは治安の問題からいっても非常に危険なのです。読んでみてください。
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