Katayama Takatoshi Weblog
基礎工事
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韓国に行っている間に鉄筋の組み上げが終わり、今日は基礎のベース部分にセメントを流す作業。5人ほどの職人が黙々と作業をしていたが、誰が指示を出すわけでもなく、それぞれが自分の役割を心得ていて、動きに無駄が無く、仕事が早くスムーズに運んでいる。見ていて気持ちがいい。基礎屋なのに左官屋のように仕事が綺麗で、久しぶりにプロの仕事を見せてもらったという感じ。不動産屋に紹介された職人はどいつもこいつも素人仕事だったが、カリコメ大工さん経由の職人は、まったく違った。これぞまさにプロ。

午後からは、木材を見にカリコメ工務店へ行く。
土台部分と梁の材料が届いているとのことなので、末っ子を連れて見に行く。よく見ると木目が詰んでいて立派な木材。全て地元大多喜の木材だ。梁は1尺2寸幅(約36cm)で杉材。土台は1辺4寸(約12cm)の檜材を使う。現在の一般的な木造住宅ではもっと細い木材を使い「プレカット」という機械加工でほぞを切るので、横揺れにも縦揺れにも対応できない。そのぶん大量の金物を入れて無理矢理に木材を押さえつけているのだが、カリコメの先代の棟梁曰く、

「学者がそれでいいってんだから、おえねえっぺよ〜(手に負えない)。学者なんてものは机の上で計算して、実技をやってねえからそんなことが言えるんだっけんが、実際にはあんなもんは20年しか持たねえ、高耐久住宅でも30年しか持たねえ。それじゃあ、定年する頃にまた建てなきゃなんねえっぺぇ。」
「でも今じゃあ、肝心の大工がいなくなっちまって、手で刻むことのできるのは、おそらく全体の5%以下しかいねえ。これから神社やお寺さんを修理するんだってこれじゃあ困るんだっけんが、しかたがねえからウチでいろいろ引き受けてるんだ。」

木も生き物だから、加工も生き物を扱うようにしなければならない。木目も見ないで機械の圧倒的な力で無理矢理に加工していって良いはずは無いのだ。木の目を見ながら適材適所で使う方が良いに決まっている。

先代の棟梁はさらに続けて

「ウチなんかは小せえから、どうにもならねえっけんが、大きな会社は政治家に献金するから、どんどん建築基準法が変わって、昔のやりかたが出来なくなってる。今じゃあプレカットの方が強度が高いなんてことになってるし、2階の床部分に根太(床を支える木材)も入れねえで、厚いベニヤで済ましてる。あんなものは接着剤で持たせてるんだから水に弱いし、持って10年ですよ。」

なるほど。住宅メーカーにしてみれば10年後にリフォームの仕事がまた入るというわけか。おいしい商売だ。

帰り際に土筆を摘んで、帰ってから今年初のタケノコを掘って、夜は子ども達を早く寝かせ、妻と2人でタケノコと土筆とチーズとグラタンとワインとパンのディナーを頂く。タケノコがすごく美味しい。
by katayama_t | 2009-04-04 23:45 | Construction | Trackback | Comments(0)
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