Katayama Takatoshi Weblog
2006年 12月 05日 ( 1 )
ソウルな日
先週末ソウルに行った目的はLEEUM SAMSUNG MUSEUM OF ART(リウム三星美術館)に行くことと、DAELIM CONTEMPORARY ART MUSEUM(テリム現代美術館)に行くことだった。リウムはサムソンが作った私立美術館だが、さすがに韓国を代表する企業だけのことはあり、すごく立派な美術館だ。3つある建物それぞれに建築家が違い、MUSEUM1がマリオ・ボッタ、MUSEUM2がジャン・ヌーベル、MUSEUM3がレム・コールハースという、そうそうたる面々。入り口を入りインフォメーションでチケットを購入、常設展が10000Wで企画展が5000Wそれから日本語の音声ガイドを借りると2000W、日本円にすると合計で約2100円だ。せっかくだから企画展も観て音声ガイドも借りることにした。
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MUSEUM1は朝鮮時代の陶器がたくさん展示してあって、なかなか見応えがあった。ほとんどが鉄分のある土に白化粧を施したもので、白化粧で象眼してあったり掻き落とし技法で線刻してあったりして沖縄の焼き物によく似ているのだが、形もデザインもおおらかで素朴で暖かみがあり、大胆で時に繊細で現代人には決して作れないだろうと思わせられるような深い魅力があった。私がこんなところで言うまでもないが、これらは間違いなく人類の宝だと実感した。

MUSEUM2は現代美術の展示で、韓国人の作家の作品が1フロア、海外の作家が1フロアの展示。現代美術は飽きるほど観ているので特に驚くようなものもなく、まあ、こんなものかと思ったが、作品の選定はわりとセンスが良いと思った。というか、私の好きなアンソニーカロもあったし、サイ・トゥオンブリなんて2点もあったのが嬉しかった。ああそうだ、ドナルド・ジャッドの箱も置いてあった。ただ展示スペースが少しこぢんまりしすぎていて、もっとひろびろとした空間に置けばジャッドなんてすごく映えるのにと少し残念だった。

MUSEUM3は企画展と子どものための教育施設の展示。企画展は朝鮮時代の水墨画や書の展示だったが、まあそうたいしたことない。日本の桃山時代などのほうがずっと面白いと思う。教育施設にはインタラクティブなメディアアートがいくつかあり、どこがどう教育と関係するのか知らないが、それなりに楽しめるものではあった。私が見たときにはドイツ人らしき初老の夫婦がコンピュータを利用したお手軽水墨お絵かきマシンで遊んでいた。どんなものかというと、水墨画のモチーフである「家」とか「人」とか「木」とか「石ころ」とか「牛」とかのアイテムと「筆ツール」があらかじめ用意されており、それらを自由にモニタ画面上に並べて、最後に自分のサインを入れてプリントアウトするというもの。まあ西洋人はあんなものでも楽しいのかも知れない。

d0094333_0312715.jpgさて、知らないうちに時間が経っていたので急いでリウムを後にして向かったのがテリム現代美術館。この美術館はガイドブックには載っていないが、ソウル・アート・ガイドというハングルonlyのフリーペーパーに大きく宣伝が載っており、なかなか面白い企画をやっているようなので行ってみることにした。今やっている企画はCYBERNETIC SENSIBILITYといって、要するにメディア・アートだが、展示の趣旨は「コンピュータ・アートの50年」というところか。小さな美術館だしあまり期待しないで行ったのだがこの展示は非常に面白かった。古くは50年代フルクサスの頃のオシロスコープを使ったドローイングから新しいのは80年生まれの作家までいるのだが、いろいろなタイプの作品を総花的に網羅しようというのではなく、かなり絞り込んで作家を選んでおり、その結果作品がどれも見応えがあるのだ。残念ながら写真に撮ることはできなかったが、有名なところでは [Peter Vogel] [Michael Joaquin Grey] などがおり、検索すればいろいろと作品を目にすることはできるだろう。たとえばここここなど。写真では実際のおもしろさはなかなか伝わらないだろうが…。

美術館を出たのが6時。もう暗くなってしまったがまだ宿をとっていない。日本から持参したガイドブックを開いて近くて安そうな宿を探したところ、三軒くらいかたまって安宿があるようなので、電話をせずとりあえず行ってみることにした。一軒目ソウル・バックパッカーズ(笑)という、いかにも、といった名前のところのドアをノック、しばらくして韓国人の若者が出てきたので、予約していないことを告げると、ドミトリしかないけどいいですか?と聞いてきた。外は寒いし一泊だけだからと思って2つ返事でOKしてそこに泊まることにした。部屋には2人ほどいるようだが荷物のみで誰もいない。誰かいたら晩飯に誘おうと思っていたのだがしかたがない、空いているベッドに荷物を置き、とりあえず晩飯を食べに出た。

それにしても寒い。何か辛くなくて、一人でも入れそうな雰囲気の店は無いかと探していたが、この2つの条件はなかなか両立しない。なぜなら一人で入れるような店は韓国の大衆食堂しかないからだ。それでも大衆食堂を丹念に見て廻っていると、プルコギドッパ(牛丼)をメニューに掲げている店を発見。なんとか無事に辛くない晩飯にありつけた。帰りに屋台で鯛焼き(韓国ではプンオバン、鮒焼きの意)を買って帰る。小ぶりのプンオバンが5つ入って1000W(120円)。餡があっさりしていてなかなかおいしい。
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宿に帰り、メールをチェックしたりニュースを見たり、他の旅行者と話したりしているうちに11時くらいになった。そろそろ寝る準備でもするか、と思っていたら同室のヒッピー風に髪を伸ばした、だらしなさげな若者が今から飲みに行くという。韓国は夜が楽しいんだと言って、レッツゴー、カモーン!なんて言うが、私は、ああそうだろうけど、ぼくは寝るよ、もう若くないからね。と言って断った。実際そんな年齢じゃない。20代だったら喜んでついて行っただろうけど。

彼はそれから数人に声をかけ、結局2人の仲間を確保し12時過ぎに出かけていった。ああそういえば名前も聞かなかったが、人生でもう2度と会うこともないだろうからまあいいか。こういうタイプの宿にももう泊まることはないだろうな、きっと。ここは若者の場所だ。若者たちよ、せいぜい青春を謳歌してくれ。私は、次は高級ホテルで至福の時を味わうことにするよ。
by katayama_t | 2006-12-05 23:29 | Art | Trackback | Comments(0)


記録すること。すべて過ぎ去ってしまう前に。
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