Katayama Takatoshi Weblog
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浸透する彫刻 ー柏原和明展ー
彫刻は物質であるが故に絵画にあこがれる。絵画の持つ幻影の世界は、「どこまでいっても結局は物質」である彫刻の世界から見ると自由自在に何でも出来そうな気がするのだ。
しかし、それでもなお彫刻家が彫刻に留まるのは私たち「人」もまた肉体(物質)であり、彫刻の「どうしようもなく物である」というところにリアリティを感じているからだろう。

質量を持った物質であるというところが彫刻の弱点であり、同時にそこにこそ彫刻という表現の強度があるとしたらそこを突き詰めるのが彫刻家の仕事であるはずだが、塊感のある彫刻らしい彫刻というものを私たちの世代はもはや作ることが出来ない。
実体のあるもの、真実のもの、確かなもの、そういうものを無邪気に信じられるような世界に私たちはもう住んでいないし、そういうものはかえって嘘っぽく空虚な感じがするのだ。

全てが薄っぺらく均質化され、情報が物に取って代わっていく現代社会の中で、人々の物に対する感受性は鈍化し、自分の肉体さえも計測値で表される情報としてしか感じられない。
それは彫刻家とて現代社会に生きている以上例外ではないのだ。私たちにとっての「リアル」とは物質と情報の間で引き裂かれている自己の矛盾を矛盾のまま生きることなのではないか?

柏原は藝大の同期で以前は廃木材を使った巨大なインスタレーション作品を作っていたが、9年間のブランクの後、突然木彫の人物像を発表し始めた。
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展示空間には人物像の他に2匹の猫が配置され、見る者の視点と意識を周辺の空間に外していく。また、彫刻の表面にペイントを施し、細かいタッチをつけることによって塊感や面の張りといった彫刻的なものが消され、「物」としての抵抗が無く、形が空間に浸透している。印象としては極めて絵画的だ。彫刻の持つ圧迫感も意味性もない。そして作品タイトルは「最高の弁当」という作品の印象とはおよそ無縁な、俗っぽく生活感のにじみ出たコトバで、見る者が感じたがっている崇高な物語性や作品の意味づけを徹底的に外していくのだ。

彼の彫刻は鑑賞者に安易な解釈を許さない。
作品が解る、作品を解釈するというのは、抽象化であり、作品そのものから遠ざかることだ。おそらくは、ただ観て、感じれば良いのだ。そうすればそこに意味づけすることの無意味さが解る。

先に「彫刻らしい彫刻というものを私たちの世代はもはや作ることが出来ない。」と書いたが、しかしこれは彫刻でなければ成し得ない表現であることは間違いない。

京橋のギャラリー山口で11月3日まで。
by katayama_t | 2007-10-30 23:43 | Art | Trackback | Comments(0)
パンダくん修理屋へ行く
d0094333_19503777.jpg天気もいいし仕事をしようと朝家を出て、車検から戻ったばかりのパンダ君を快調に走らせていると、突然シフトレバーが抜けた。

昨日修理屋でメカニックと一緒に車体の下を見ながらこんな会話をしていたのを思い出す…。

私:「シフトレバーのボールジョイントってこんな構造で外れないんですかねえ?」
メカニック:「ええ、摩耗してくると外れますねえ…」
私:「外れると、シフトレバーが抜けてぐにゃぐにゃになりますよねえ?」
メカニック:「そうですねえ…」
私:「……。じゃあ明日取りに来ますから…」

今にして思えばなんとなく嫌な予感がしていたのだ。

修理屋に電話して待つこと1時間。昨日のメカニックのおにいさんがレッカー車を運転してやってきた。代車を貸してくれたが、もう仕事場に行こうという気が失せてしまったので、家に帰って昨夜作った栗の渋皮煮を瓶に詰めたり、柿を採ったりして過ごした。

明日仕事しよう。
by katayama_t | 2007-10-28 19:51 | Life | Trackback | Comments(0)
ひさしぶりの解体屋
今日は学生の作品制作の締め切りにつきあって、解体屋にタイヤのチューブをもらいに行った。解体屋さんというのは昔はよく行ったがここ十数年行っていない。昔行った覚えのある大きな解体屋さんを目当てに行ったのだが、探しても見あたらず、仕方がないので少し小さめのところに行って部品を物色してきた。

そこの従業員に「昔この辺りにすごく大きな解体屋があって、車が積み重ねてある一番上に飛行機まで乗っていたのを良く覚えているんですが、あそこはもう無くなってしまったのですか?」と聞いたら、「ああ、すぐそこのところでしょ、あれが奥に引っ込んでここに移ったんですよ」と教えてくれた。なんと、ちゃんと目当てのところにたどり着いていたのだ。規模はずいぶん縮小したようだが、唐突に意味不明の物体が放置されているあたりはあの頃のままだ。
写真はビートルカブリオレのなれの果て。もう少しで妖怪になれそうなほどの存在感で私たちを出迎えてくれた。

昔のようにまた解体屋とか鉄屑屋めぐりをしてみたいな。美術館やテーマパークにある作為がみえみえのいやらしい物体を見るよりも、こちらのほうがはるかに魅力的だ。
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by katayama_t | 2007-10-25 23:34 | Art | Trackback | Comments(0)
陶芸教室
d0094333_10492325.jpgこのところかかりきりだった「シンポジウム記録」の編集が1時間ほど前にようやく終わり、急いで明日の授業の準備をした。明日から11回の予定で4人の学生を相手に授業をするのだが、ひょんなことから陶芸をテーマに教えることになり、準備をする時間が無かったので、とりあえず焼き物のサンプルに10種類くらいの器を選び、段ボールに詰めて車に乗せた。

教えることにはなったが、私自身は人にまともに陶芸を教わったことがない。4月23日の日記にも書いたが、ただ良い茶碗がほしくて自分で作ってみたというのが始まりで、いろんな焼き物を見たり、本を読んだり、人に聞いたりしながらその都度覚えていった。だから、私の焼き物の知識はひょっとしたらすごく偏っているかもしれない。それを無理に系統だって焼き物の歴史から教えたりしようものならすぐにボロが出るし、実感がこもらないから教わる方もつまらないに違いない。

じゃあ、何を伝えたらよいか?

伝えたいことはたくさんある。
磁器と陶器の違いとか、銀食器と磁器の関係とか、お茶椀と日本の美意識とか、桃山文化とか、量産品と一品物の違いとか、秀吉の朝鮮出兵で陶工達を拉致してきたこととか、柳宗悦による民藝の発見とか、粘土とは何かとか、土の性質と形と意匠との関係とか、等々…。

いろいろあるが、自分にしか教えられないことは何かと考えると、自分が体験したことの感動を伝えるところから始めるしかないだろうと思う。

私が食器を初めて意識したのは、学生時代だ。ひょろひょろに痩せて食欲も無く、ふらふらした足取りで池袋の西武美術館に行った帰りに、「少しでも何か食べる気になるためにはどうしたら良いだろう…」と考えて、食器を買ってみようと思い立ったのだ。西武デパートの食器売り場にはたくさんの器があった。その中から飯茶碗と箸を選んで、生まれて初めて意識して陶器を買った。3600円だった。大金だ。でも、その器は今でも毎日使っている。「食」というものの意味に気づかされた、自分にとって大切な器だ。

それから数年後、自分で茶碗を作ろうと思い立って当時田端にあった高橋粘土店に粘土と釉薬を買いに行ったのだが、何を買えば良いのか全く解らず、置いてある焼成見本を指さして「これは何ですか?」と、かたっぱしから質問していった。

粘土の種類と釉薬の種類を聞いていったのだが、同じ組み合わせで焼かれたものでもまったく発色が違う。言っていることがさっぱり理解できず頭がこんがらがって来たが、何度もしつこく聞くと、少しずつ解ってきた。酸化焼成と還元焼成で発色は違い、還元焼成でも還元のかけかたによってまた違うと言うのだ。
例えば鉄分のある土は酸化で茶色だが、還元だと焦げ茶色、銅が入った釉薬は酸化で緑色だが、還元では赤色になるという具合。これは化学の実践だ。

さっさと買って帰るつもりが4時間くらい高橋粘土のおじさんを質問攻めにしてようやく全体像が見えてきた。「やきもの」というのは信じられないほど多様な世界だった。粘土と釉薬と焼成条件の組み合わせによって、やきものの表情は無数に変化するのだ。粘土の組成も釉薬の組成も焼成条件もそれぞれ無数にある。

ようやく粘土を買ったのはいいが、今度はろくろの使い方がわからない。しかたがないので芸大の陶芸科へ制作方法の見学に行ったのだが、ろくろの上で魔法のように自由に形が変わっていく粘土を見てまた驚いた。彫刻科だったから毎日粘土は触っていたが、今まで粘土のことを何も知らなかったのだと思い知らされた。

こういう、陶芸の「とんでもなく不思議な世界」が少しでも伝わればいい。

そして授業の最終回は、焼き上がった「作品」を持って馴染みの小料理屋に繰り出し、料理を盛りつけてもらって、それぞれ自分のお猪口を手に宴会をするのだ。きっと楽しい。
by katayama_t | 2007-10-24 01:07 | Art | Trackback | Comments(0)
子どもの絵
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真ん中の子がマグカップの底にマジックで描いた絵を見ると、彼女の絶好調ぶりがよくわかる(笑)。

私は子どもの頃からこういういわゆる子どもらしい絵というものを描いたことがない。

子どもの頃、写生大会などで他の人の絵を見ると「どうしてみんな見える通りに描かないで形を変えて描くんだろう…」と不思議だった。今はこういう主観的な絵が描けるということが少しうらやましい。
by katayama_t | 2007-10-22 00:23 | Art | Trackback | Comments(0)
運動不足だ…
今日は一日中デスクワーク。あるNPOが行ったシンポジウムの内容を冊子にまとめる作業。テープ起こしをして校正した原稿にレタッチした写真を割り付け、さらに講演に使われたパワーポイントデータを画像に変換して割り付けていくのだが、元のパワポが我慢の限度を軽く越えるひどいデザインなので、全部手直してから画像に変換していった。

普段デザイン関係のプレゼンしか見ていないので、たまに医療や社会学、工学など違う分野のプレゼンを見るとあまりのひどさに愕然とする。美的センスが無いのはしかたがないにしても、普通に見やすさとか解りやすさを考慮するという考えも働いていないように見える。学業は私などよりはるかに優秀なのだろうがどうしてこんなに見にくく汚い画面を作るのか不思議だ。

もう2ヶ月間くらいかかりきりでそろそろ息切れしてきたが、あと2日くらいかければ終わりそうだ。
もう一息。

昼はスパゲティにワイン、つまみに妻が作ったバジル酵母のクラッカー。これが美味!!
今までの人生で出会った中で一番美味いクラッカーだ。こういうものを口にすると本当にいいものは市場に出回らないのだということがよくわかる。
by katayama_t | 2007-10-21 00:23 | Life | Trackback | Comments(0)
制作中
とりあえず箱物
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素材:5.5mm厚ベニヤ板
サイズW630×D270×H100mm
by katayama_t | 2007-10-17 21:54 | Art | Trackback | Comments(0)
クローズアップ現代
友人にビデオ録画をしてもらった3日放送の「クローズアップ現代(続発する赤ちゃん置き去り)」をDVDにしてようやくMacで見ることが出来た。

置き去りにされた赤ちゃんはこの2年間で54件、遺体で発見されたものを含めると94件にも上るそうだ。1週間で1件の置き去りが起きている。

今年の5月に「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を設置した熊本の慈恵病院では、今までに8件の乳幼児が預けられ、24時間対応の電話相談には全国からなんと200件以上の電話があったという。

恵泉女学園大学教授の大日向雅美氏は次のように言う。
「現代の若い女性は、経済的にも、人間関係も貧困で、また性教育も満足に受けることが出来ず、非常に困難な環境に置かれている。
赤ちゃんが育てられないという問題は、女性がふしだらというのではなく、妊娠出産時に弱者に置かれた女性をどれだけ守れるかを考えなければならない。
それは、今の日本社会の構造的なゆがみと言えるのではないか。」

女性が妊娠したと判ったとたんに姿を消す男が多いが、残された女性ばかりが「ふしだら」だと非難されて、何の支援も受けられないなんてどう考えてもおかしい。

d0094333_187161.jpg番組には予期しない妊娠や出産で悩んでいる女性達に手を差しのべる活動をしているNPOが2つ紹介されたが、こういうことは本来国が責任を持ってやらなければならないことだろう。



それにはまず「性教育は性の乱れを助長する」とか「子どもは親が責任を持って育てるべきだ」なんてのんきなことを言っている脳みそが活動停止したような政治家たちを一掃することから始めないとダメだろうな。道のりは遠く険しい。
by katayama_t | 2007-10-05 20:00 | Social | Trackback | Comments(0)
外山恒一氏の犯罪
よく逮捕される人だ(笑)。
過激な政見放送でおなじみの外山恒一氏が道交法違反で逮捕されて1ヶ月間拘束されたあげく、罰金12万円の判決が出た。
これだけ聞くと、とんでもない危険行為を犯したのだろう、と思うが、外山恒一ブログによると犯した「犯罪」は原付バイクで夜間のみ一方通行の2車線道路を気づかずに逆走した「罪」と、原付バイクの法定速度である30kmを20kmオーバーの時速50kmで走ったという「罪」らしい。

道交法違反「身勝手」被告に求刑の8倍判決 鹿児島地裁 
 鹿児島地裁は、鹿児島市で一方通行をバイクで逆走するなどし、道交法違反の罪に問われた熊本市の職業不詳、外山恒一(とやまこういち)被告(37)に対し「検察官の求刑(罰金1万5000円)は著しく軽きに失する」として、このほど求刑を大きく上回る罰金12万円の判決を言い渡した。外山被告は今年4月の東京都知事選に立候補し、「こんな国はもう滅ぼせ」など過激な政見放送で注目を集めた。
 判決では、外山被告は昨年1月、鹿児島市内の一方通行の市道を逆走。同年7月には同市の国道で、法定速度を20キロ超える時速50キロで運転した。渡部市郎裁判官は「悪法には従わなくてもよい、などと身勝手な言い分を述べ、反省の情はみじんも見られない」と断じた。
 外山被告は県警の出頭命令に従わず、今年6月に逮捕され、逮捕後も黙秘を続けたため裁判になった。担当弁護士は「本人は控訴すると言っていた」と話している。鹿児島地検の小原浩司次席検事は「判決は一つの考え方として受け止める」と話した。(毎日新聞)


この程度のことなら普通は、1万5千円の違反金を支払っておしまい、となるところだが「任意出頭」に「任意」だからと応じなかったことで逮捕拘留され、裁判になって1万5千円の罰金(←前科となる)を検察側に求刑された。そして、出た判決はなんと求刑の8倍の12万円!!。こんなの聞いたことがない(笑)。
本人もブログでこう言っている。
「検察官の求刑を上回る判決自体がごく稀であるのに、「8倍」というのはあるいは前代未聞なのでは?」

「反省の情はみじんも見られない」」ことでこういうことになっているらしいが、そもそも「道交法違反」の微罪では、反省しているから違反金を払っているわけではなく、面倒なことになるのがいやだから払っているだけだ。少なくとも自分はそうだ。
だいたい原付バイクで30km制限を守っている人なんて見たことがないし、もし本気でそれを守らせるつもりならば、現状の60kmではなく30km以上出せないようなリミッターを付けないとバイクを販売できないようにすれば良いではないか。

外山氏の場合は「任意出頭」に応じなかった為に、こうなってしまったわけだが、これは要するに国には逆らうな、国が「任意」と言ったらその意味は「命令」なのだと肝に銘じよ。ということだな。
国家権力というのは恐ろしいな。
by katayama_t | 2007-10-05 00:59 | Social | Trackback | Comments(0)
続発する「赤ちゃん置き去り」
10月3日(水)19:30から、NHKのクローズアップ現代で乳児遺棄事件について放送される。駅のトイレや、道端などに置き去りにされた乳児はこの半年で30件以上、死体で発見されるケースも多いらしい。政府が「少子化対策が急務である」なんて言っている一方で妊婦が病院をたらい回しにされたり、乳児が次々に置き去りにされている。
こういうことはミャンマーで長井さんが射殺された時の日本政府の「のんきな対応」と通底しているような気がする。人権や人命というものをどう思っているのかとても疑問だ。
by katayama_t | 2007-10-02 00:04 | Social | Trackback | Comments(0)


記録すること。すべて過ぎ去ってしまう前に。
by katayama_t
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