Katayama Takatoshi Weblog
人の多面性について
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桐野夏生のグロテスクを読んだ後、じわじわとダメージが来ていて、そのもやもやした感じを晴らすべく続けざまに「東電OL殺人事件」を読んだ。これは、小説の題材になった事件を描いたノンフィクションだ。

最初は、感動の押し売りみたいな陳腐でつまらぬ文章だなと思いながら読んでいたが、いつの間にか引き込まれていった。事実の力はすごい。小説は人が作ったものなので矛盾は無いが、実際の人間は矛盾だらけだ。人の行動をどんなに的確に理由付けしてみたところで、それでもなお、「どうして?」という思いは残る。おそらく人間には当の本人にも分からない衝動というものがあって、それがその人の行動を決定づけているのだろう。どんなに想像力を働かせてみたところで結局は「解らなさ」が残る。

「人間は黒か白かだけで判断できるほど生やさしいものではない。だからこそ人間は面白いのだ。」という一文が端的に示しているように、人間は誰でも多面体だ。
聖人扱いされている人物でも人間である以上実際には様々な面があるはずで、ある面から見てみれば決して褒められた人間ではないだろう。それを1つの面だけ強調して理解しようとするのは、人々の願望であって、結果としてその人を平板なつまらぬ人物に見せているのではないだろうか。

事件被害者の東電OLは父親を過度に尊敬するあまり、父の死がその後の転落の引き金になったという見方が有力だ。だとしたら、彼女は最後まで子どものままで自分の人生を生きていなかったのではないか。父の嫌な面には目をつむり尊敬できる面だけを強調して見ていたのではないか。しかし、立派なだけの人間などいない。人には様々な面がある。そのことを了解してなおかつ人は面白いと思えることが大人になるということなのかもしれない。

今日、葉山の美術館に行く道すがらそんな事を考えていた。美術館では若林奮展をやっていて、美術館の外では鳶が輪を描いて飛んでいた。人間の欲の世界とはまったくかけ離れた静謐な時間が流れていたが、素晴らしい美術家といえども美術館で見せているのはその人物のごく限られた一面でしかないのだろう。
# by katayama_t | 2015-12-10 23:54 | Life | Trackback | Comments(2)
世代交代の速度と社会が変わる速度
夫婦別姓を認めない民法の規定が憲法に違反するかどうかについて、最高裁判所大法廷が来週、判決を言い渡すらしい。

夫婦別姓が認められるようになるのは時間の問題だと思うが、NHKが先月行った世論調査では、「夫婦は同じ名字を名乗るべきだ」という答えが50%、「同じ名字か別の名字か選べるようにするべきだ」が46%で賛否が大きく分かれている。もうとっくに別姓容認派が多数だと思っていたのでちょっと意外だ。

いったいどういう人たちが別姓に反対しているのかと思うが、その内訳を見ていると実に興味深い。20代から50代までは「選べるようにするべきだ」という回答がいずれも6割を超えているが、60代はほぼ同じ割合で、70代以上になると逆に「同じ名字を名乗るべきだ」という回答が70%近くになり、世代によって答えが大きく異なっている。
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「なるほど、育った時代が違うからなあ……」となんとなく思っていたが、たまたま今日の夕方にNHK-FMでやっていたクレイジーキャッツの歌を聴いて、腑に落ちた。

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私だけが あなたの妻
丈夫で長持ち 致します
テナコト言われて ソノ気になって
女房にしたのが 大まちがい
炊事せんたく まるでダメ
食べることだけ 三人前
ひとこと小言を 言ったらば
プイと出たきり ハイ それまでヨ
フザケヤガッテ フザケヤガッテ
フザケヤガッテ コノヤロー
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「ハイそれまでよ:ハナ肇とクレイジーキャッツ」

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新婚時代は 暴君で
あげ膳すえ膳 ねぇ貴方
わたしとっても まったく 本当に幸せよ
とかなんとか 云われたもんだが
今じゃ 子守に皿洗い

コラ又 どう云う訳だ
世の中 間違っとるよ
誠に 遺憾に存じます
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「遺憾に存じます:ハナ肇とクレイジーキャッツ」

「丈夫で長持ち致します」って奴隷かよ! と突っ込みたくなるし、今どき子守に皿洗いくらいはやって当たり前だが、今の70代の方々が結婚適齢期の頃には、女性は家に入るのが当たり前で、こういう歌詞が違和感なく社会に受け入れられていたということだろう。そういう方たちが夫婦別姓反対と思うのも無理からぬ事だと思った。世代が変わる速度に応じて社会が変化していけば良いのだが、今は明らかに世代交代の速度よりも社会が変わる速度のほうが早い。もっともいつの時代もそうなのかもしれないが。
# by katayama_t | 2015-12-08 23:22 | Social | Trackback | Comments(0)
調理用薪ストーブの開発
荒牧さんが毎週末に我が家の庭で調理用薪ストーブを開発すべく実験を繰り返している。

世間では薪ストーブが流行っていて、特に都市部では「通販生活」の後押しもあって木質ペレットを燃料とした暖房用ストーブがかなり売れているらしいが、どこかハイソな(もしかして死語?)イメージがあり、貧乏人には縁の無い世界のような雰囲気がある。そもそも燃料を作ったり運んだりするためにエネルギーを使うというのがもうダメ。結局買い物をしつづけるのか……、という徒労感がある。

もっと単純に、生活に必要なエネルギーは輸入品の石油を買って使うなんてことをせずとも、都市部以外では生活圏内に有り余る木質燃料を使えば良いのではないかという発想から、まずは日本の夏でも使える調理に特化したストーブを作ろうとしている。これはハイソなイメージがないし、貧乏くさくもない。地に足の着いた研究と言えよう。

火力調節や排煙など課題は多いが、本当に使えるものができたら我が家でも導入を考えようと思う。
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# by katayama_t | 2015-12-06 22:30 | Trackback | Comments(0)
猫とお酒とストーブの火
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たくさんの人を相手に仕事をするととても消耗する。人の感情や意志が自分に向かってくる感じがとてもキツイことがある。まともに受け止めなければ良いのかもしれないが、人を相手にしながらそこに関係性が無いのなら何を話しても会話は成立せずまったく無意味だと思う。とはいえキツイ。
しばらく緊張がほぐれずもう人に会いたくない感じになるが、猫は別だ。猫は自由だ。自由だから重荷にならない。自由に家に出入りして、道路を走って渡り、時々鳥を捕まえて食べる。とても幸せそうだ。道路を渡るのはとても心配で、車に轢かれたらショックで立ち直れそうにないが、それでも、この自由を束縛してはいけないと思う。

人間は猫とお酒とストーブの火があればとても幸福になれる。
# by katayama_t | 2015-12-01 22:51 | Life | Trackback | Comments(0)
火のある暮らしとやきものとの関係
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土曜日に野焼きをした直後に、学園の子どもたちから「またやりたい」の声があがった。またやりたいと言われても、1日がかりで大変な労力がかかるのでそう簡単ではないが、一度やると次はもっとこうしたいという展望が開けてすぐにまたやりたくなる気持ちもよく分かる。

野焼きでなく、もっと簡単にできる方法は無いかと考えてみたら、我が家では毎日風呂釜やストーブで火を燃やしているので、やろうと思えばその中でやきものを作ることができるのではないかと思い当たった。普通の家では薪ストーブや薪の風呂釜は無いかもしれないが、それでも工夫すれば七輪などでも焼けるはずだ。

しかし、ある程度の数を一度に焼こうと思ったら、一番効率の良いのは結局陶芸用の窯を作ることではないだろうか。いつかはやらねばと思っていたが、そろそろ1200度以上温度が上げられるような窯の設計を考えてみるか……。

こうして家の完成がまた遠のいていく。
# by katayama_t | 2015-11-30 21:24 | Life | Trackback | Comments(0)
玄関前のひさし完成
トタンと釘を購入してようやく玄関前のひさしが完成。
最近のトタンはガルバリウム鋼板を使っているので錆びにくくとても長持ちするらしい。金物屋さん曰く今までのカラー釘だとトタンよりも先に釘が腐ってダメになってしまうとのことで、今回は「ドブづけ」の釘を購入。「ドブづけ」というのは溶融亜鉛メッキのことで亜鉛を溶かしたメッキ槽にまるごと浸け込むので錆が出にくい。

トタン貼りももうすっかり慣れて、まったく問題無く作業終了。最近このひさし作りのために薪割りを休んでいたのと、ストーブを使い出したので薪の減りが激しい。今週は薪割りに精を出すことにする。
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# by katayama_t | 2015-11-29 22:20 | Construction | Trackback | Comments(0)
「やきもの」をもっと身近に
今日は朝から先日作った土鈴の野焼き。
雨続きで薪が湿っていて火のコントロールが難しかったが、皆の協力でなんとか火を絶やさずにゆっくりと温度をあげて、最後は竹と杉で一気に昇温。
途中お昼休憩を挟みながら午後2時頃に焼き上がった。

「やきもの」というと陶土と窯がなければできないと思い込んでいるが、まったくそんなことはなく、山肌の地層が露出したところでは粘土が採れるし、それを焚き火で焼けば800〜900度程度の素焼きのやきものができる。やきものは1250度で焼かなければいけないというのも思い込みで、そこで採れる粘土の耐火度に合わせて焼けば良く、そういう意味ではやきものにならない粘土は無いとも言える。粘りがあり、成形できる土であれば基本的にすべてやきものになる。とはいえ、陶土として売られている粘土は粘りがあり、成形しやすいのは確かなので、粘土を買って野焼きをするというのが簡単で良いかもしれない。買った粘土を使うのに抵抗があるならば、100%買った粘土ではなく、その土地の土や砂を混ぜてやると味が出て良い。
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一日火と向き合い、美味しいお昼もごちそうになってとても良い一日でした。
# by katayama_t | 2015-11-28 22:41 | Art | Trackback | Comments(0)
大切な時間
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会期中2回目の『塚本誠二郎 展』に行った。初日のオープニングパーティでいろいろとお話をさせてもらって、「今度お宅ににおじゃまさせてもらって良いですか?」と聞いて快諾されたのだが、連絡先を聞かなかったので、今日はあらためて連絡先を聞きに行った。

塚本さんとはその昔巷房で出会ってからずっとファンでありつづけているが、今までに3回くらいしか会ったことが無い。巷房で個展を2年に1回やられているので、3回会ったということは出会ってから少なくとも6年は経っている(いやたぶん10年くらい経っているが)ことになるが、逆に言えばそれだけの年月でたった3回しか会えていないということだ。感性の似ている人と出会うのは奇跡的なことなので、そういう関係はできるだけ大切にしたいと思うが、会う機会が自然に訪れないのならこちらから出向くしかない。というわけで春になったらお酒を持って遊びに行こうと思う。

とは言っても、それほど打ち解けた仲でもないので、実際に会っても緊張して何を話せば良いのか分からないが、お酒があれば大丈夫。今日も巷房で出された美味しいカルバドスのおかげでいろいろと楽しい話ができた(私は塚本さん同様生きるためにお酒が必要な人間なのだ)。

彫刻の話、陶芸の話などをしながら、過去の思いが蘇ってきて、私が「最初に陶芸に興味を持ったのは18歳か19歳の頃に渋谷の松濤美術館で…」と言いかけたら、塚本さんが「辻晋堂!」と口を挟んだ。
「!!!!!」
あの展覧会を観たという人に人生で初めて出会い、感激のあまり絶句したが、それからは、あれはとても良い展覧会だったという話で盛り上がり、そのままその場にいた人たちで近くの台湾料理の店へ繰り出した。とりとめもなく様々な方面に飛ぶ話の輪に入りながら、この瞬間もいつか遠い過去になるのだなという思いを心に刻んだ。なんだかもう好きな人としか会いたくないし、好きな人と会う時間をよりいっそう大切にしたいと思う。
# by katayama_t | 2015-11-27 23:59 | Life | Trackback | Comments(0)
車を車検に出すなどした
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もらった軽トラックの車検が知らないうちに切れていた。
車検が切れた車は単なる鉄くず。車検を通さねばならないが、余分なお金はかけたく無いので自分で車検に出してみることにした。

一応ネットで調べてみたのだが、もともと調べごとが嫌いな質なのでちっとも頭に入らない。まあ、なんとかなるだろうと思って、役場で仮ナンバーを発行してもらって何の整備もせずにダメもとで軽自動車検査協会まで車を走らせた。どの窓口に行けば良いのかもわからず、うろうろしていると、すぐに窓口のおねえさんに声を掛けられて、いろいろと教えてくれた。何も知らない素人が行くともっと冷たい対応をされるのかと思っていたが、どの窓口に行っても皆親切で素晴らしく対応が良い。どこかの役場とは大違いである。

球切れくらいはチェックしてから来るべきだったかなあ、不具合が見つかりませんように、とハラハラしながら進んでいくと、ウインドウウォッシャー液が出ないことが判明。

まあ、そううまく行くわけ無いよな……。

その日のうちに修理して持ってくればタダで、後日になると手数料の1400円がもう1度かかってしまうとのこと。
モーター音はしているので液が切れているだけだろうと思い、車検場の自販機で南アルプス天然水を買ってウォッシャー液のタンクに入れた。スイッチを押すと勢いよく液が出てきて無事に車検終了。車検にかかった費用は自賠責保険料26370円+重量税6600円+手数料1400円+用紙30円=34400円。それに車検切れだったので仮ナンバー代金が750円。それを足しても35150円。安いじゃないか……。

お金がないと何でも自分でやるようになるものだ。
# by katayama_t | 2015-11-26 21:49 | Life | Trackback | Comments(0)
長いものに巻かれる
また一つ長いものに巻かれてしまった。
秋葉原で中古のiPhone5Sと今流行の格安SIMとやらを購入して、softbankと縁を切り、とうとう人生初docomoに。まさか自分がdocomoの端末と回線を使うことになろうとは夢にも思っていなかったが、月々の通信料が家計(飲み代)に重くのしかかっているので苦渋の選択である。別にdocomoに恨みがあるわけではないが、私は何にしろ最大手というものが嫌いなのだ。docomoやパナソニック、トヨタ、巨人、自民党などが、傲慢な感じがしてどうも好きになれない。もちろん偏見だが、物事を決定するのはいつだって論理ではなく感情なのだからそれはしかたがない。端末購入からセットアップまで約1時間。便利な世の中になった。

その後、時間があったので21_21のゲーリー展へ。
フランク・ゲーリーには以前から注目していろいろ見ていたので、特に新しい発見は無かったが、それでも、あの切ったり貼ったりして考えながら作るラフモックの現物を目にすると臨場感があってとてもワクワクする。コンピュータを駆使した設計だが、形の発想は気の遠くなるような手作業の積み重ねで、それらすべてを実現するために膨大な数の人が関わっているということがよく分かる。『建築は一人ではできない』ということが説得力をもって迫ってくる展示だった。家作りとはわけが違う。
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# by katayama_t | 2015-11-25 23:57 | Art | Trackback | Comments(0)


記録すること。すべて過ぎ去ってしまう前に。
by katayama_t
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